うつ病
うつ病とは?
うつ病は、働き盛り、中高年に最も多く、気分の落ち込みや興味関心の低下、活動性の低下、易疲労感などの症状が出現する病気です。
典型的なうつ病は、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の異常、脳の機能異常が原因として推測されており、抗うつ薬の効果が得られやすく、適切な治療を受けられれば高い割合で治ることが期待できます。
うつ病の原因
うつ病は、几帳面で生真面目、周囲の人に配慮する性格の方がなりやすいと言われています。
また、大事な人を亡くす、転職や退職、子どもの自立や離婚などの生活上のストレスが引き金となって起こることが多いです。
その他、身体の病気やその治療薬が原因となることもあります。また、うつ病は、心疾患や脳血管疾患、悪性腫瘍などの身体疾患に合併しやすいことも知られています。
うつ病の症状
うつ病は心の症状ばかりではなく身体の症状も起こりやすいです。
実際、心の症状が目立たず、身体の症状ばかり出てしまう方も少なくありませんので、いろいろな身体の診療科を受診された後に心の診療科にいらっしゃる方も多いです。
身体にあらわれる症状には、不眠や疲れやすさ、食欲低下やそれに伴う体重減少が多く、その他、頭が重い、口が渇く、便秘やしびれ、めまい、動悸、呼吸困難、頻尿などがあります。これらの症状があって、いろいろ検査をしても原因が見つからないといった場合には、一度うつ病を疑ってみても良いかもしれません。
以下に典型的な症状をお示ししますが、自分では症状があることに気づかず、家族や職場の同僚が先に気づくといったことも少なくありません。
典型的な症状
- 気分が落ち込む
- なにもやる気が起こらず、物事がおっくうになる
- 頭が働かない
- 物事に集中できない
- 以前に楽しめていたものが楽しめない
- 自信がなくなる
- あせってイライラする
- 仕事のミスや遅刻が増えた
- 献立が考えられない
- 将来への希望が無くなり、悲観的に考えるようになる
- 何でも自分の責任だと感じてしまう
- 人付き合いが嫌になる
- 身だしなみがだらしなくなる
- 飲酒量が増える
うつ病の治療
治療は、脳を休めること、睡眠を確保すること、薬物療法が重要になります。
脳を休めるためには、ストレスから離れ休養をとることが原則となりますが、うつ病になると、考え方が極端になることが多いので、転退職や住居・財産関連、婚姻関係などの人生における重大な決断はいったん棚上げして延期することが望ましいです。
また、典型的なうつ病は、薬物療法の効果が得られやすいですが、抗うつ薬を早期に中止したり減量したりすると再び症状が悪化しやすいことも知られています。副作用などの問題がなければ、数カ月、もしくはそれ以上の期間を同じ量で継続することが推奨されます。