適応障害
適応障害とは
適応障害は、ストレスになる出来事に対して心が反応して、さまざまな症状が起こる病気です。
どの年齢の方にもストレス性に起こりうる病気で、うつ状態が優勢な方、不安が優勢な方、それらが混ざった症状を呈する方、素行の障害に現れる方といったように、人によって、いろいろな症状の出方があります。
ストレスになる出来事とは
この病気は、ストレスによってどの年齢でも引き起こされますが、年代によってストレスとなりやすい事がらが異なります。
ストレスは、人生の節目ごとにある発達課題にまつわるものが多いように思われます。
児童思春期では、学校での問題や親子関係の問題がストレスになりやすく、青年期では進路や就職、恋愛の問題、成人期では夫婦関係や子どもとの関係、仕事上や経済的な問題が多く、老年期では家族との関係や身体疾患などがストレス因子として多いです。
また、一つのストレス因によっておこる場合もあれば、複数のストレス因が重なっている場合もあり、慢性的な身体の病気などなかなか解決しないストレスを抱えていらっしゃる場合もあります。
適応障害の症状
症状は、通常、ストレス性の出来事から1~3か月以内に起こり、原因となっているストレスから解放されると3~6カ月以内に消失します。
思春期青年期の場合は、問題が発達課題とからんでいることが多く、成人期よりも回復に時間がかかることが多いです。というのも、ストレスになっている学校をやめれば解決、という単純な図式ではなく、同級生に気を遣いすぎてしまう、自己主張が出来ないなどの問題があって、学校の人間関係が楽しくない、人と接するのは疲れるばかりだという場合、学校を変えたところでご本人の問題は持続するため、ご本人が変わらない限りはストレス因はなかなか解決しないということになります。
また、老年期の方の慢性疾患や老いがストレス要因となっている場合も同様です。
抑うつ気分を伴う適応障害の症状には、抑うつ気分、涙もろさ、絶望感などがあり、不安を伴う適応障害の場合は、神経質、心配、過敏などがあります。無断欠席や欠勤、けんかなどの素行の障害が優勢にみられる方もいらっしゃいます。
適応障害の治療
ストレス性の疾患ですので、ストレス因から遠ざかるということが最も効果的です。
とはいえ、現実には、ストレスから遠ざかることが簡単にはできないことも多いと思います。
すでにお話しした児童思春期のお子さんの場合はもとより、成人期で職場環境があわないといった場合でも、実際には部署異動を願い出るのも勇気がいることですし、簡単に仕事を辞めるわけにもいかないでしょう。家族との関係がストレス因となっている場合にも、なかなか解決のつかない複雑な問題をはらんでいることが少なくありません。
このため、まずは、治療者と一緒に、抱えているストレスについて考え、対処法について相談することを中心に、必要に応じて、心理療法(カウンセリング)や症状にあわせた薬物療法を組み合わせていくことになります。